「え、榎本……」

「探したよー。みんなナオくんと話したがってるんだからね」

「放課後付き合ってやるから」


昼休みは放っておいてくれ。

そう言おうと思った。

なのに……。


「だからね、みんなに教えてあげたんだ」

「え?」



榎本は、にっこりと悪気のない笑みを浮かべながら



「エントランスにいれば、ナオくんのこと捕まえられるよって」



榎本はそう言うと、俺の肩越しに放送室の中を覗き込んだ。



「なるほどね。琴莉ちゃん、こーんなところにいたんだね」

「か、関係ないだろ」

「関係あるんだよね、これが」


榎本は、俺と扉の間に立って、俺に耳打ちしてきた。


「もしさ、私がみんなに琴莉ちゃんのこと教えたら……琴莉ちゃん、どうなっちゃうんだろう……ね?」