それからしばらく……琴莉を放課後誘おうと教室を出ようとする度に、俺は止められる。

クラスの女子だけではなく、別のクラスの女子たちにまで。


「ねえ、ナオ?どこ行くの?」

「今度は、私と遊んでよ」

「英語の発音かっこよかった。英語教えてよ〜」


あーうるさいうるさい!!!

もう充分遊んでやっただろう!

これ以上、俺の時間を奪わないでくれ。


イライラをぶつけそうになる度に、榎本がさっと駆け寄り、耳元でこう囁いてくる。


「やめておきな。今は大人しくした方がいいよ。琴莉ちゃんを守りたいなら」


琴莉を守る。

俺にとってのパワーワードだ。


そうだ。

もしかすると、こいつらの中に琴莉に牙を向ける奴らがいるかもしれない。

俺は、榎本の言葉のおかげでグッと堪えることができて、どうにか問題を起こさずに済んだ。



そして、俺は気づいた。

放課後はもうダメだ。

ならせめて、別の時間を狙おう。



そう考えた俺が、琴莉に話しかける時間として選んだのは……昼休みだった。