4月。

琴莉と再会した直後、俺はアイツとも再会した。

榎本加耶。

俺と琴莉、2人だけの世界に、最初に割り込んできた女子。

琴莉がいたはずの場所に、いつの間にかじわりと侵食をしていた女子。

鈍かった俺は、その異質さに全く気づかなかった。


ただ普通のクラスメイトの1人……仲間として接していた。

それは俺が中学の時、アメリカに行くまで変わらなかった。

琴莉とは違う、男友達のような気楽さがあった。

それくらいの存在だとしか、俺は榎本のことを思っていなかった。



だから、アメリカから帰る時真っ先に情報を求めたのも、榎本だった。

榎本のおかげで、琴莉とは同じ高校に通うことができた。

とても感謝をしていた。

榎本が困ったことがあれば、俺が力になってやろうくらいには思っていた。



でも実際は違った。

俺が琴莉と会えなくなったのも。

高校でも琴莉が俺を徹底的に避けていたのも。



全ては榎本が仕組んだことだった。