そもそも、俺は4月に琴莉と再会をした時は、こんなに琴莉と離れているはずじゃなかった。

何かにつけて琴莉に話しかけようと思い、メモ帳に簡易シナリオをいくつも作っていた程だった。

他の人とは気軽に話せる。

勝手に話しかけてくれて、自分は相槌を打つだけだから。

それはとても楽だ。

脳を使わなくていいから。

でも琴莉に対してはそうはいかない。

分かっていたけれど、琴莉から俺に話しかけるということは一切ない。

寂しいと思ったけれど、仕方がないとも思った。

だからこそ、ここから琴莉と俺の関係性を新しく築いていけばいい。

そう思っていたのに、俺は大きな計算違いをしていた。

自分が琴莉に執着するように、俺に執着する人間が0ではなかったことに、どうして俺はこのタイミングまで気づけなかったのだろう。