その時、俺のスマホが震えた。

誰かから、ラインの着信があった。

俺は、その差出人を見てがっかりする。

本当に欲しかった差出人はただ1人だったというのに。


どうして、どうでもいい人からのメッセージばかり受け取ってしまうのだろう。

どうして、こんな事になってしまったのだろう。

俺は、どこから方法を間違えたんだろう……。

小学校?

それとも高校入学前?

できることなら……ただ無邪気に琴莉の側にいられた、子供の頃に還りたい。


また、ラインの着信が入る。

何度も、何度も繰り返し。

仕方がなく、ラインのメッセージを確認する。

……あの女からだった。



「ナオ、みんなもう例の場所行くって。あなたも行くでしょ?」



あの女からのメッセージを皮切りに、次から次へと顔も覚えていない女達からの着信も入ってくる。




「ねえナオくんがいないと寂しいよー」

「みんな待ってるよー」



俺は、できることならスマホの電源を切ってしまいたかった。

でも、それをすることはできない。

俺は……あの女に弱みを握られているから。