来てくれたら、まずは来てくれてありがとうと言う。

あとは、他の女の子との時間を邪魔してごめんね、と謝る。

もう2度と、こういうことはしないからと前置きをしてから、話を聞いてほしいとお願いをする。

OKがもらえたら、まずはチョコレートを渡そう。

初めて作った、とかは重すぎるから言わない。

お父さんに作った余りだと言えば、大丈夫だろう。

受け取ったのを確認してから、好きにしてもいいから、いやなら捨てちゃっていいよと言う。

私から言ってしまえば、もし本当に捨てられても傷つくことはないだろう。

その後で、実はね、と話を切り出す。

軽い口調で、好きだったよ、と言おう。

せっかくチョコを作ったんだから、今までの気持ちも伝えてみようと思ったんだって言おう。

返事は、ちゃんと貰わないといけない。

嫌いだよと言われることも怖いし、気持ち悪いと言われることも怖い。

だけど、言われて、振られることが目的だ。

だから、逃げるな私。

言われたら、こう言えばいい。

わかってたよ、これが最初で最後だから、気にしないで、と。

それで終わりにする。

もし、面倒だと言われたら、何もせずに終わりにする。

チョコレートも渡さない。

これも、目的は果たしてる。

こっぴどく振られて、次に進むという目的。

緊張する。

でも、全部やり遂げなきゃ。

これが終われば、好きという気持ちはきっといなくなってくれるだろう。



可愛いメモ用紙に書かれた殴り書きのメモは、全部血に染まっていた。

けれど全部読めてしまった。

琴莉が、本当は俺を好きでいてくれたけど。

だけど、俺を諦めることを決めていたということ。


残酷だ、と思った。