「とにかく、俺は大丈夫だから」

「そう?ならいいけど……最近日本も物騒ね……」


そのようにブツブツ小声で言い始めたと思ったら


「ねえ、ナオくん」

「何」

「あなた、高校もこっちに通いなさい」

「は!?」


いきなり何を言い出す。


「そうよ。ちょうどナオくんこっちにも馴染んできたし。このままこっちの学校で英語しっかり勉強してきなさい」


「…………」



英語は、あくまでコミュニケーションのツールだ。

できたところですごいわけではない。

できないと、何も始まらない。

それが、その言語を母国語とする国で生きていくルールだ。

買い物以外は、日本人コミュニティでしかコミュニケーションを取らない母親には、きっとこの感覚は分からないのかもしれない。

そして、俺も教えられた。