朝から晩まで、話したくもない女子たちに囲まれる。

女子たちから求められる言葉をおうむ返しして、求められる行動を提供する。

女子たちが求めるような表情を出す。

たった、それだけだった。

でも、それには俺の時間が、絶対必要だったのだ。

俺が選んだ方法は、俺自身が琴莉と会う時間を、チャンスを、どんどん奪っていった。

琴莉の姿は、琴莉が部屋にいる時、琴莉がカーテンを閉めるまでの短い間だけしか、見ることができなくなっていた。

俺の後をついていた頃より、ずっと身長が伸びている。

髪型は、短くなっていた。

いつ切ったかは知っている。

ずっと、見ていたから。

声はかけられなくても、琴莉の変化を見守ることができるのは、俺だけの特権だと思っていたし、準備もしておきたかった。

琴莉にまた話しかけられる日が来る時のために。

だけど、悠長に待つことが出来るほど、現実は俺に優しくなかった。

いつしか琴莉の部屋は、ずっとカーテンが閉めっぱなしになってしまった。

そして……俺はといえば、アメリカ行きが決まってしまった。

頭が追いつかない程の急展開だった。