「どういうことだ?」


俺は聞いた。

そいつは、俺を睨みつけながら、こう吠えた。



「琴莉ちゃんと松井先輩が仲良いから、女子の先輩たちが琴莉ちゃんに嫌がらせをするんだ」

「嫌がらせ……?」

「そんなことも知らないで、よく幼馴染って言えますね」


生意気なやつだ、と思った。

しかも、俺以外に、琴莉と名前で呼ぶ男がいることが、とても許せなくてイライラした。


「お前、琴莉のなんなんだよ」

「友達ですけど」


即答された。

でも、友達と強く念を押すように言ってきた口調は、気になった。


「友達なら、何だって言うんだよ」

「琴莉ちゃんと一緒に、楽しいことができる仲間です」


そんなの、俺だってそうだ。

琴莉と俺は、いつも一緒にいた。

これからも、一緒にいる。

そうだ。

それは変わらない。



「仲間が何だって言うんだ」


俺がそう言うと、そいつは「先輩はバカなんですか」と言ってきた。


「お前……上の学年に向かって口の聞き方気をつけろよ」


俺は、そいつを力任せに突き飛ばした。

そいつは、大きな音を立てて尻餅をついた。

その姿は面白かったけど、その後の言葉に、俺の頭が殴られた。


「琴莉ちゃんは、先輩と離れた方が楽しいって言ってますよ」