俺は考えた。

俺が、琴莉のためにできることは何かを。

琴莉の母親にも話を聞いた。


「ちっとも笑ってくれない」

「ご飯を食べてくれない」


と言った。辛そうな顔をしていた。

俺とずっと一緒にいる時、琴莉はそんなことはなかった。

ニコニコと、いつも楽しそうだった。

ケラケラと、大声で笑っていた。


やっぱり……俺がいないとダメなんだ……。


俺は、琴莉の笑顔を俺の手で取り戻してやりたかった。

だから、また考えた。

俺と琴莉は、何をするにもずっと一緒だった。

琴莉が俺の真似をすれば、俺が嬉しかった。

俺が琴莉の真似をすると、琴莉はパチパチと拍手した。

嬉しいと言った。



そうか、と気づいた。

俺と琴莉が、また同じことをすればいいんだ。

俺が琴莉と一緒になればいいんだ。


そこでまた、俺は考えた。

あいつらは琴莉をニワトリと呼んでいた。

何でニワトリだったのかはどうでもよかった。

琴莉が、ニワトリと呼ばれて傷ついたのだとしたら、俺も一緒にニワトリと呼ばれればいい。

そうすれば、俺と琴莉はお揃いになる。


そうすることが、俺と琴莉が一緒に幸せになれる方法だと、本気で信じていた。