1年間、長かった。

琴莉が、俺と同じ小学校に入学してきた。

一緒に学校に行けるようになって、俺は嬉しかった。

だけど、このままだと1年生の教室まで一緒に行ってしまうであろうと親が考えたのか、琴莉の入学前に、母親からこう言われていた。


「琴ちゃんとは、玄関でバイバイしなさい。良いわね」


何で?と聞くと、決まって母親は俺にこう言ってくる。


「だって、あなたは2年生で、琴ちゃんは1年生なのよ。当然でしょう?」


何が当然なのか俺には分からなかった。けれど最後にはいつも


「あなたがいつも一緒にいるせいで、琴ちゃんにお友達ができなかったらどうするの?」


と、怒られた。

本当は、琴莉には俺以外の友達なんかいなくていいと思っていたけれど、琴莉が俺のせいで泣くのも嫌だった。

だから、学校にいる間は、1年生に琴莉を譲ってあげてやることにした。


それなのに。


1年生の奴らは、俺が見てない間に琴莉をいじめていやがった。