琴莉を守りたいという気持ちは、日に日に大きくなっていった。

だから、琴莉が行くとこには必ず俺もくっついて歩くようになった。

それが、俺にとっての当たり前だったし、琴莉にとってもそうであったと本気で信じていた。

根拠のない自信が、俺の中にはあった。

戦隊モノのベルトをつけていれば、琴莉をどんな悪の手先からも守れると考えていたので、毎朝母親とは喧嘩をした。

ベルトをつけていきたい俺と、絶対につけるなと取り上げようとする母。

当時の俺にとっては、そんなことが死活問題だったので、たった2日程ベルトを母親に隠されただけで


「どうしよう……琴ちゃんが悪の手先に攫われても、守れないよ……」


と本気で落ち込んでいる時、ひょこっと琴莉が現れる。

それが、いつもの俺たちの日常。


「ナオくん、元気ないの?」

「そんなことない!」


俺は琴莉にかっこいいところを見せたくて、戦隊モノのポーズを決める。

すると琴莉は


「わーナオくん、かっこいいー!!」


と拍手してくれる。

それが嬉しくて、俺は何度も何度も、勝利ポーズを見せてしまう。

琴莉が、ニコニコと笑ってくれる。

そんな風に、琴莉と過ごす時間が、明日も明後日も……永遠に続いてほしいと願った。


だけど半年先に生まれたというのは、俺たちにとっては大変な問題だということに気づいたのは、俺が小学校に入学した時。

初めて、琴莉と離れ離れの時間が長く続いた時。

1日が過ぎるのは、長過ぎると感じた。

その1日が暇すぎて、俺は暇つぶしの相手をたくさん作ることに決める。


サッカーをする相手。

戦隊モノの話をする相手。



そこに誰がいたかなんかはどうでもいい。

琴莉がいない寂しさを紛らわせてくれるなら、誰でもよかったから。

でもいつしか俺は、約束という言葉に支配されるようになる。

そのせいで。本当に一緒にいたいはずの琴莉との時間が、ますます取れなくなるジレンマに陥ってしまった。