幸せだ、と俺自身が言うのはおこがましいことはわかってる。

ただ、琴莉を幸せにしたいという思いを持つことだけは、許されたいと思っているし、少なくともそれだけは、琴莉にも周囲の人にも許されたのではないかと思えるくらいにはなった。


「ナオくん」



琴莉は、前のようにもう俺の前で俯かなくなった。

俺も、そんな琴莉の手をしっかりと繋げるようになった。

それは決して俺たち二人だけの世界ではなく、俺たちを支えてくれた人のおかげでできた絆だと、今は思うから。

だから、今も、これからもずっと俺は、この手を離さないように真剣に考え続けようよ思う。



「琴莉」

「何?」

「好きだよ」

「私も、好き」


永遠に、こんなやりとりが琴莉と続けられるように。