俺の、人生最初の記憶には、お前がいた。

俺がお前より、半年だけ先に生まれた。

たった半年だと大人たちは言ったが、俺にとっては半年はとても大きい。

「ナオくん」

とぴよぴよと可愛く鳴きながら、俺によたよた歩いてくる姿が可愛くて仕方がなかった。


この子は、俺が守るんだ。


そう決意してからは、親にもことあるごとに


「琴莉ちゃんを守るんだ」


と宣言していた。

親たちは、そんな俺の決意をクスクス笑いながら


「はいはい。琴ちゃんに嫌われないようにしないとね」


とからかってきた。

そのたびに、俺は


「本気だぞ!俺は琴ちゃんを守るんだ!!」


と、親に買ってもらった戦隊モノのおもちゃを振り回した。

この時の俺は、悪い敵が来たらやっつける、という単純なことしか考えられてなかった。

まさか、俺が琴莉を傷つける敵になる日が来るなんて、夢にも思わなかった。