ごくりと、最後まで飲み切った瞬間、俺は立ち上がった。


「ケビン。俺は、行ってもいいのか?」


琴莉のところに。


「言っただろ。お前の覚悟次第で、どうにでもなるんだ……いや、違うな」


ケビンはそう言いながら立ち上がった。


「お前が、どうにかするんだ。バードちゃんを手に入れたいんだろ?」


俺は頷く。


「バードちゃんを、大事にしたいんだろ?愛したいんだろ?」

「愛……」

「そうだ。ライクじゃない。ラブの方だ」

「ラブ……」

「ああ。どうなんだ、ナオ」

「そうだな。俺は、琴莉を愛しているよ」


ずっとずっと、長い間。

その気持ちを失ったことは、1度もなかった。



「じゃあ腹を決めろ。前へ進め。転びそうになったら立ち上がれ。それが、人生の全てだ」

「お前、年いくつだ?」

「お前と同い年だよ、知ってるだろ。まあ」


ケビンは、俺の背中に手を回す。


「お前より、人生経験は積ませてもらったがな。いい意味でも、悪い意味でも」


そう言うなり、ケビンは俺の背中をばしっと叩いた。

それを合図に、俺は部屋を飛び出した。



「頑張れよ」


後ろからのケビンの声が、風になった。