どうして?
アメリカにいるんじゃないの?

どうして?
ここは、私が自分で探してきた高校なのに。
私たちの家がある場所から、とても遠いところにあるのに。

どうして?
アイツとの思い出がないところに行けば、もう悲しい思いをしなくても済むと思っていたのに。

どうして?
アイツは、また私の小さな世界の中心にいるんだろう。

どうして?
アイツは、また私の名前を呼ぶのだろう。

たくさんのどうしてが、頭を支配する。

でも、1番のどうしては…………

「ナオ……くん…………」
「よお。元気…………だったか……?」
「…………うん…………」


どうして?
アイツの視線に私が入っているという事実が、こんなに嬉しいと思ってしまうんだろう。


結局アイツは、たった一言で私の決意を無かったことにしてしまう。
それは、とても悔しい。
でも……悲しくはなかった。