それからしばらくして、俺は学校に行くのを止めた。

俺が学校に行くことに、意味を感じなくなったから。



琴莉はあのバレンタインから、ずっと眠り続けたまま。

このまま、意識を取り戻すかどうかはわからない状態だと、母親は教えてくれた。

ただ、希望がないわけではないらしかった。

半年、1年、10年と眠り続けていても、ある日突然目覚めるケースもあると。



皆は言った。

俺のせいで、琴莉は死にかけていると。

俺が全部悪いのだと。

だから皆はこうも言った。

琴莉と俺はもう2度と会うべきではないと。

あの事故こそ、琴莉と俺の分かれ道だったのだと。

そうすべきだと。





けれど。

そんな簡単に切れるような思いならば、もうとっくの昔に消えている。

いっそ消えてくれていた方が、ずっと俺は楽だったのだ。

それでも、消えてくれない。

机にカッターナイフで文字を刻めば、一生消えないのと同じだ。

例え何かで埋めようと思っても、埋まらない傷であり心。

それが、俺の琴莉への想いなのだ。

だから、琴莉への想いに殉じたかった。

琴莉が死ぬなら俺も死ぬ。



もう誰にも、俺の想いを踏み躙られたくない。