「だから何だっての?」

「……は?」

「私がナオに送られてきたメッセージを消した。私があの子の事故現場にたまたまいた。たまたま写真を撮った。…………だから?」

「開きなおんじゃねえよ!!」

「別に私があの子を轢き殺したわけじゃないじゃん」

「琴莉はまだ死んでない!!!」

「何よ、言葉を間違えただけじゃない」

「骨折も、間違えたっていうのかよ」

「さあ、適当に書いただけだし」

「何のためにだよ!」

「だから言ったじゃん、ムカついたからって」

「それだけで、ここまでするのかよ」

「そもそもさ、私がしたことってさ……別に犯罪にならないじゃん」

「はあ?」

「別に私があの子に何かしたわけじゃないじゃん。私のせいで事故に遭ったわけじゃないじゃん。メッセージを消して、事故前のあの子の写真を撮った。それのどこが罪になるの?犯罪になるの?」


榎本は、早口で捲し立ててきた。


「それにさ。あんたがスマホをちゃんと持ち歩き続けてて、私より先にメッセージに気づいてたらよかっただけじゃないの?」


その言葉は、俺の心を抉るのに十分すぎた。

俺も薄々、わかっていたことだから。

でも。


「何でもかんでも、私のせいにしないでよ。ほんとバカみたい」


その次の榎本の言葉が、俺の殺意に火をつけた。


「もうあの子、死んじゃうかもしれないんでしょ?職員室で先生が話してるのを効いちゃったんだよね。あーあ。せっかく言霊の力を借りて、骨折ってしてあげようと思ったけど…………あの子ってほんとグズでノロマで…………疫病神ね。死んじゃった方が、みんなのためじゃないかな?」

「てめえ……榎本!!!」