アイツがいる、いないにも関わらず、結局私はいじめのターゲットになってしまった。

今度の理由は分からない。

けれど、いじめなんていうものは、そういうものなのかもしれない。

それに気づいたのは、理由もなく始まったいじめが、理由もなく終わったから。

まるで一過性の台風のように、その時だけやってきて、今まで培ってきたものを全て壊す。

一生消えない傷を残す。

それが、中学時代に受けた私のイジメだった。

その時、私を支えてくれたのは、アイツの


「琴莉、一緒に学校行こう」



と優しく呼んでくれる声。

その声があったから、私はどうにか生きてこられた。

アイツの顔は、その頃にはもう忘れてしまっていたけれど。



そして私が、次にアイツと会ったのは、私の高校入学式の日だった。

アイツが、戻ってきたのだ。

でも、アイツはますます、私の知らないアイツになっていた。