俺は急いでその人に通話で連絡を取った。


「もしもし?ナオ、どうしたの。珍しいね、通話してくるなんて」

「今の、何?」

「琴莉ちゃんの件だよね」

「そう」

「これねー昨日くらいから、いろんなところから話回ってきたんだよ」

「いろんなとこ?」

「私が最初に聞いたのはラインだったけど……Twitterで知った子もいるって」

「は?なんだよそれ」

「ナオ、Twitter上でもちょっとした有名人なんだよ。知らなかった?」

「知らない」


最初はTwitterは琴莉がやっていないか検索をしたこともあったが、結局見つけられずそのままアプリごと消去してた。

別に芸能人でもない俺が、どうして有名になるというのかよく分からない。


「ナオの情報がTwitterでよく拡散されてて、情報収集する子も多くてね……。今回の件も、最初の出どころはTwitterだったらしいよ」


どこからその情報を得たのかはどうだっていい。

問題はそこじゃない。


「琴莉の事故の話……学校側から公表されたとか?」

「琴莉ちゃんのクラスには話があったみたい。部活の後輩がそう言ってた。でも、入院してるってくらいしか情報伝わってなかったみたいよ」

「じゃあ、琴莉のクラスのやつが適当なことを言ったのか?」

「さあ、それはわかんないけど……ただね……その……」


ここまでは軽快な流れで話をしていた、その人の会話のテンポがここで落ちた。


「何?どうした?」

「昨日くらいかな……画像がね、広まって……」

「画像?」

「それと、文章。そこに書かれてたの。さっきのこと」


俺の気を引きたくてわざと事故ったっていう、ふざけた文章のことだろう。


「なあ、一体どんな画像なんだ?」

「…………見たい?」

「そこまで言って、逆に見せないのもおかしい話だろ」

「そ、そうだよね。ごめん、考えなしで」

「それはどうでもいいから、早く見せろ」

「わかった……けど……ナオさ、琴莉ちゃんのこと気にかけてるって、言ってたでしょ?」

「…………それは…………」

「だからさ、ちょっと心配なんだよね」

「え」

「これ見せたら、ナオがどうなるんだろうって。私の気のせいだと良いんだけど」


そう言うと


「画像送るね」


と、その人は通話を切ると同時に、1枚の画像を送ってきた。

その人が言った、「どうなるんだろう」の意味は、すぐにわかった。

その人が、俺の一体何を気にしていたのかということも。