正月二十四日深夜。隠れ家へ巴が戻ってきた。義仲の首を持って。
「葵に言われたの。義仲の首を姫様と一緒に燃やせって。そうすれば款冬姫さまの呪いは解けるって」
 親忠は小子が泣き疲れて眠ってしまったことを巴に伝え、首だけになった主人と対面し、一筋の涙をこぼす。
「……なんてお姿に」
 そしてそのまま堪えていた涙が次々に流れていく。獣の遠吠えのような鳴き声が、室に響く。これでは姫様も起きてしまうのではないかと巴が怪訝に思うと、案の定。