「……款冬姫さま。情報がほんとうかどうかはまだ確認できていません」
「だけど法皇は源義経によって救出され、義仲軍は敗走、主従は散り散りとなり義仲は討たれたって……明日には京に義仲の首が晒されるのでしょう?」
 わたしは義仲の首など見たくない。あの方が悪人として無残に晒される悪趣味極まりない姿を見せるなんて耐えられない。そう訴えたが、逆に親忠は死ぬなら首を見てから死ねと言ってきた。
「義仲さまは、款冬姫さまに最期の姿を見てもらいたいのです。命を絶たれるのなら、義仲さまの首を見てからにしてください」
「……義仲がそう願ったのなら」
 どこか強引な親忠の言い方を不審に思ったが、それで後を追えるのならと、小子は渋々頷いた。