義仲が討たれた。その報告をきいたとき、自分も後を追わなくてはと思った。懐剣を喉元に向けたけれど、あっさり止められてしまった。
「いまここで命を絶たれたら、俺も死にます」
 素早く懐剣を奪われ、つよく抱きしめられた。そのまま、時間が止まる。
「なんで、親忠がそういうこと言うの?」
「……姫様をお慕いしているからです」
 親忠の告白をきいても、小子は受け入れられない。義仲が自分を置いて死んでしまったことで、手いっぱいだから。
「だめよ。わたしは義仲じゃなきゃだめなのっ……!」
 小子は親忠の胸の中で嗚咽する。