「お前がとても愛らしくて、つい声をかけてしまっただけさ」
中性的な声色がまた、目の前の女性の神秘性を増幅している。小子が愛らしいと巫女は口にしているが、小子からすれば彼女の方が何倍も魅力的に思える。
そんな小子の気持ちがわかったからか、巫女はそれ以上愛らしいという言葉を唇に乗せることはなかったが、小子の前までやってくると、懐からそっと匂い袋を取り出し、小子の手の中へ握らせた。
「巫女さま?」
「受け取れ。お守りだ」
「でも、知らないひとからものをいただいてはいけませんってお父様が」
「匂款冬の花だ。大したものではない」
匂い袋からは、いままで嗅いだこともない甘い芳香が漂っている。高貴な蘭花と豊潤な秋葡萄を混ぜ合わせたような独特でありながらくどくない香りだった。巫女に渡された花の香りに小子は夢中になる。
「それにもう、お前とはここで知りあっているだろう?」
中性的な声色がまた、目の前の女性の神秘性を増幅している。小子が愛らしいと巫女は口にしているが、小子からすれば彼女の方が何倍も魅力的に思える。
そんな小子の気持ちがわかったからか、巫女はそれ以上愛らしいという言葉を唇に乗せることはなかったが、小子の前までやってくると、懐からそっと匂い袋を取り出し、小子の手の中へ握らせた。
「巫女さま?」
「受け取れ。お守りだ」
「でも、知らないひとからものをいただいてはいけませんってお父様が」
「匂款冬の花だ。大したものではない」
匂い袋からは、いままで嗅いだこともない甘い芳香が漂っている。高貴な蘭花と豊潤な秋葡萄を混ぜ合わせたような独特でありながらくどくない香りだった。巫女に渡された花の香りに小子は夢中になる。
「それにもう、お前とはここで知りあっているだろう?」