畳みかけるように義仲は返して小子の身体をそっと下ろす。自分も座り込み、あらためて小子を膝の上に乗せ、呆れた表情の親忠やまだ笑いつづけている巴の前で小子の長い髪を優しく撫ではじめる。小子は恥ずかしそうに顔を赤らめ、義仲から逃げようとじたばたしている。
「姫様は、どのように呼ばれたいですか?」
主人である義仲がいるからか、親忠は小子にも堅苦しい言葉を向けている。別に気にする必要はないのにと思った小子だが、そんなことを口にしたらまた義仲に何か言われそうなので黙っておくことにして、親忠の質問に応えることにした。
「姫様、で構わないけれど……それだと不都合なのね」
義仲には小子が来るまで正室はいなかったが、側室に該当する女性はいると巴が教えてくれた。
「ええ。本人は嫌がるんですけど巴さまも戦姫として仲間たちから慕われていますし、葵さまももともとは木曾に縁あるお城のお姫様でしたから」
「姫様は、どのように呼ばれたいですか?」
主人である義仲がいるからか、親忠は小子にも堅苦しい言葉を向けている。別に気にする必要はないのにと思った小子だが、そんなことを口にしたらまた義仲に何か言われそうなので黙っておくことにして、親忠の質問に応えることにした。
「姫様、で構わないけれど……それだと不都合なのね」
義仲には小子が来るまで正室はいなかったが、側室に該当する女性はいると巴が教えてくれた。
「ええ。本人は嫌がるんですけど巴さまも戦姫として仲間たちから慕われていますし、葵さまももともとは木曾に縁あるお城のお姫様でしたから」