沈みかけている夕陽を背に、首実験を終えて興奮冷めやらぬ様子の義仲が姿を現す。
「ただいま戻った」
 小子は巴とともに戻ってきた義仲を迎える。昨日と同じ戦装束の義仲を見て、昨晩の出来事が素早く脳裡をよぎっていく。
「おかえりなさい?」
 素直に口にすればいいのに、緊張と戸惑いでつい語尾が上ずってしまった。義仲はそんな小子を見てくすくす笑いながら、ぽんと頭を撫でる。
「どうだ、この邸は。お前が暮らしていた邸よりはちいさいが、きれいにはなっているだろう?」
 義仲に言われ、小子はこくりと頷く。