「そんな大仰なことじゃないわよ。まぁ事実なんだけど。それで今日は朝からはりきって首実検してるわけ」
「はあ」
 あっさり言われても、現実味が湧かないのは自分がその場にいなかったから仕方がないのだろう。小子はようやく顔色を落ち着かせ、巴の話に耳を傾ける。
「総勢何人の首が晒されることになったんだか……六百人くらい? 三井寺の管長や天台宗最高位の明雲大僧正まで殺さなくても良かったのにとは思うんだけどねぇ」
 六百人。晒し首。想像するだけで気を失ってしまいそうだ。しかも徳のある僧侶まで殺しちゃった? 小子は驚きを隠せず、巴に問い返す。
「そんなに?」
「言っとくけど義仲ひとりで殺したわけじゃないわよ。あたしも何人かやっつけたもの」
「……」
 それも端女がすることですか?