「この子、うちの商品を万引きしたんですよ」
面倒くさそうにそう呟く店員さん。
「ちっ、違いますっ!」
すぐさま否定の言葉を口にした女の子だったけれど、それが店員さんをより一層、不機嫌にさせてしまった。
「違う? 違うってなに? こうやって実際にあなたの鞄から商品が出てきたのよ」
女子生徒の鞄を持っていた店員さんが、乱暴に中身をまさぐると、確かに値札がついたままのシャープペンシルやキーホルダーが出てきた。
このお店では、購入したときに値札は取ってくれるはずだから(さっき憂ちゃんが買い物をしているときに確認した)、つまりはレジを通していないということである。
決定的な、物的証拠だった。
「しっ、知りません! 私、そんなことしてません!」
しかし、女子生徒は必死に弁解を試みていた。
正直、見ている側からしたら、店員さんの言い分が通っているように思っても不思議じゃない。
むしろ、それが自然なことだと思う。
だから、このまま我関せずという立ち回りでその場を去ろうとしたのだが、
「もしかして、あなたたちも、この子の友達なのかしら?」
という、離れているわたしにさえも軽蔑の眼差しを向けてきたので、少しばかり、反抗してみたくなった。
有り体に云えば、カチンときた、である。
いやいや、わたしも沸点が低いものだ。
わたしは、一歩一歩、気持ち的には地面を蹴り飛ばす勢いでその女の店員さんのところまで近づき、言ってやった。