種田と以前のように普通に話すことができないでいるうちに、期末テスト期間がとうとうやってきた。気がつけばテストが始まる日まで、1週間。全ての部活動が今日から休みになる。部活に所属していないあたしにとっては、特に変わり映えのないテスト休みだ。
「里穂、帰ろう」
放課後、バドミントン部の花鈴と吹奏楽部の真由も今日から部活が休みになったため、三人で一緒に帰ることになった。
普段一人で帰宅することが多いあたしにとって、テスト期間だけこうして仲良しの二人と家に帰るのが楽しみの一つだった。
「里穂、種田となんかあった?」
三人で校舎を出てすぐ、花鈴がぐいっとあたしに身を寄せてきた。
「は、突然、なんで」
「何もないよ」だなんて言えないくらい、あたしの心拍数は上がっていた。花鈴から一歩遅れをとった真由が、「え、なになに?」と好奇心旺盛の子犬のように見えた。
「いや、里穂ってなんかあった時に顔に出るの、分かりやすいから」
呆れ顔の花鈴が、あたしの肩を軽く叩く。
「う〜」
真由も花鈴と一緒になって、「里穂は気持ちを顔に出しすぎなんだよ」とあしらう。
「で、どうしたの?」
学校の入り口から伸びる坂道を下り、交差点。
学校から家まで、いつものペースで歩いたら十分で到着してしまうため、長話をする時は大抵この交差点の隅で立ち止まる。他の生徒も、交差点から友達と家の方向が逆、ということが多いため、ここでたむろする学生が多い。
だからそういう時、普段なら見張りの先生たちがやって来てあたしたちを注意する。注意されるのは嫌なので、いつも先生の目を気にしながら、立ち話をする。
しかし今日だけは、もう周りが見えなかった。
「先週のことなんだけど……」
1週間前の種田との会話を一度話し始めたらもう、抜け出せなかった。
最初は、ぽつり、ぽつり、とあの恥ずかしい会話や「好きな人の気持ちが見たい」という種田の答えを二人に教えた。
でも、途中から会話がヒートアップして。
「え!」
「それで、どうしたの?」
と次々と答えを求めてくる彼女たちに負けず劣らず、自分の中にむくむくと湧き上がっている気持ちの全てを打ち明けないと気が済まなくなってしまった。
「あたし、もう、無理なの」
ぶわっと。
コップの淵に溜まっていた水が溢れ出すように、抑えていた種田一樹への気持ちを、女友達二人に向かってぶちまけていた。
「種田が好きなの。だから、これ以上話せなくなるのは、つらい」
「里穂、帰ろう」
放課後、バドミントン部の花鈴と吹奏楽部の真由も今日から部活が休みになったため、三人で一緒に帰ることになった。
普段一人で帰宅することが多いあたしにとって、テスト期間だけこうして仲良しの二人と家に帰るのが楽しみの一つだった。
「里穂、種田となんかあった?」
三人で校舎を出てすぐ、花鈴がぐいっとあたしに身を寄せてきた。
「は、突然、なんで」
「何もないよ」だなんて言えないくらい、あたしの心拍数は上がっていた。花鈴から一歩遅れをとった真由が、「え、なになに?」と好奇心旺盛の子犬のように見えた。
「いや、里穂ってなんかあった時に顔に出るの、分かりやすいから」
呆れ顔の花鈴が、あたしの肩を軽く叩く。
「う〜」
真由も花鈴と一緒になって、「里穂は気持ちを顔に出しすぎなんだよ」とあしらう。
「で、どうしたの?」
学校の入り口から伸びる坂道を下り、交差点。
学校から家まで、いつものペースで歩いたら十分で到着してしまうため、長話をする時は大抵この交差点の隅で立ち止まる。他の生徒も、交差点から友達と家の方向が逆、ということが多いため、ここでたむろする学生が多い。
だからそういう時、普段なら見張りの先生たちがやって来てあたしたちを注意する。注意されるのは嫌なので、いつも先生の目を気にしながら、立ち話をする。
しかし今日だけは、もう周りが見えなかった。
「先週のことなんだけど……」
1週間前の種田との会話を一度話し始めたらもう、抜け出せなかった。
最初は、ぽつり、ぽつり、とあの恥ずかしい会話や「好きな人の気持ちが見たい」という種田の答えを二人に教えた。
でも、途中から会話がヒートアップして。
「え!」
「それで、どうしたの?」
と次々と答えを求めてくる彼女たちに負けず劣らず、自分の中にむくむくと湧き上がっている気持ちの全てを打ち明けないと気が済まなくなってしまった。
「あたし、もう、無理なの」
ぶわっと。
コップの淵に溜まっていた水が溢れ出すように、抑えていた種田一樹への気持ちを、女友達二人に向かってぶちまけていた。
「種田が好きなの。だから、これ以上話せなくなるのは、つらい」