私の気も知らず、成瀬さんは一人で頷き納得していた。デートみたいだね、とさらに撃沈させられるより良いか……。もうコッチも無理やり納得するしかない。そして……話を変えよう!
「……。成瀬さんは、豊香さんがあの記事の女子大生だって何で分かったんですか? ヴァッサーゴの目で?」
あれよあれよと話が進んでいったので、私は「うんうん。ほうほう……なるほど……?」と、成瀬さん達の後ろで見ているうちに終わってしまった。
どこまでがヴァッサーゴの瞳の力なのか、どこからが彼らの推理力? なのかが、謎で。
「あぁ……。それはね」
成瀬さんが一枚の紙を出す。A5の用紙には、ズラリと、本のタイトルと著者名が並んでいた。
「今回、本を寄贈してくれたのは神宮氏なんだ」
「あ! 朝の電話の人……神宮さんだったんだ。すごい偶然」
「時間が無いから、どうしても今日のうちに聞いて欲しい話があると言われて」
「時間が無い……?」
「話によると、ここ一週間くらい、晴れていても夜中に雨が降ってる音が聞こえるらしい。しかも、庭を誰かが行ったり来たり歩いてると……。どうすればいいかって相談だった――」
「それ……心霊現象!?」
「文雄さん、『鈴原文庫にはヴァッサーゴの瞳というスピリチュアルなものがあるから、不思議なことの原因は大抵分かる』と前に飲み仲間に話してたようでね。噂が巡り巡って来たのかな……」
「……。図書館に幽霊がでる噂、お祖父ちゃんのせいなんじゃ……」
肩をすくめる成瀬さん。
写真の中のお祖父ちゃんはロマンスグレーの格好いい人で、成瀬さんや雅さんを救ったヒーロー。だが反面、相当の変わり者のようだ。
「遊び心のある人だったけど、考え無しで行動する人ではなかったよ。その点ではあまり心配いらないと思う。――ただ、遊び心があり過ぎて、僕とマサシはしょっちゅう振り回されてたな」
懐かしそうな表情。少し羨ましい。私もお祖父ちゃんと話してみたかったな……。
「……。成瀬さんは、豊香さんがあの記事の女子大生だって何で分かったんですか? ヴァッサーゴの目で?」
あれよあれよと話が進んでいったので、私は「うんうん。ほうほう……なるほど……?」と、成瀬さん達の後ろで見ているうちに終わってしまった。
どこまでがヴァッサーゴの瞳の力なのか、どこからが彼らの推理力? なのかが、謎で。
「あぁ……。それはね」
成瀬さんが一枚の紙を出す。A5の用紙には、ズラリと、本のタイトルと著者名が並んでいた。
「今回、本を寄贈してくれたのは神宮氏なんだ」
「あ! 朝の電話の人……神宮さんだったんだ。すごい偶然」
「時間が無いから、どうしても今日のうちに聞いて欲しい話があると言われて」
「時間が無い……?」
「話によると、ここ一週間くらい、晴れていても夜中に雨が降ってる音が聞こえるらしい。しかも、庭を誰かが行ったり来たり歩いてると……。どうすればいいかって相談だった――」
「それ……心霊現象!?」
「文雄さん、『鈴原文庫にはヴァッサーゴの瞳というスピリチュアルなものがあるから、不思議なことの原因は大抵分かる』と前に飲み仲間に話してたようでね。噂が巡り巡って来たのかな……」
「……。図書館に幽霊がでる噂、お祖父ちゃんのせいなんじゃ……」
肩をすくめる成瀬さん。
写真の中のお祖父ちゃんはロマンスグレーの格好いい人で、成瀬さんや雅さんを救ったヒーロー。だが反面、相当の変わり者のようだ。
「遊び心のある人だったけど、考え無しで行動する人ではなかったよ。その点ではあまり心配いらないと思う。――ただ、遊び心があり過ぎて、僕とマサシはしょっちゅう振り回されてたな」
懐かしそうな表情。少し羨ましい。私もお祖父ちゃんと話してみたかったな……。



