だいぶ綺麗になって、男子は冷たいプールの中に入って水をかけ合っている。
 まぁ、冷たい水に浸かって涼みたくなるのもわかるけど。

「ほんと男子って子どもよね」

 あんなにびしょびしょになって制服どうするのよ。
 絶対お母さんとかに怒られると思う。



「なぁ、葵も!」

 わたしが見ているのに気づいた伊織がこっちに近づいてくる。

「やだ! 濡れたくないもん。
 だから、ここから見てるだけでいいの!」

 伊織の近くのプールサイドにしゃがんで、水に触る。
 ここから見たり、水に触ったりするだけで充分涼しさを感じられるのだから。

「いいからいいから!」

 伊織がぐいぐいと手を引っ張る。
 それとは反対に伊織に離れようと立とうとすると、水溜まりに足が滑って、バランスが崩れる。

「え、ちょ!」

 ばっしゃーん!!!

 大きな音を立てて、わたしは水の中へと落ちていた。