「おや、お友だちと宿題かい?」

 おばあちゃんが買い物から戻ってきたみたいでお菓子を手にもっていた。
 伊織はすぐ姿勢を正して「お邪魔してます」と頭を下げる。

「あのときの男の子かい?」

「え?」

 おばあちゃんの言葉に首を傾げる。
 伊織のこと知ってるの?
 面識ないはずなのに。


「あのときの男の子って?」

「たしか、あれは葵が……」

 おばあちゃんが話し出そうとすると、伊織が「あの、はじめましてだと思います!」と叫ぶ。

「……そうかい。わたしの勘違いだったかね」

「そうですよ! あはは」

 伊織が苦笑いしている。変なの。
 なにか隠してるみたいだった。