Side朔夜
あのファミレスの日から、僕と彼女の関係性は徐々に変わっていった。
まず、事務所で偶然会ったら、約束をしなくとも、駅までの帰り道は一緒に帰るようになった。
僕は、借りた本を隅から隅まで読み切った。
なので、毎回の彼女との会話のきっかけは、内容について質問から始めた。
彼女のプライバシーのことを1度だけ聞こうとしたら
「一路さんに話す義務はないと思います」
と、シャットアウトされたので、同じ失敗は踏まないように気をつけた。
何を聞けば、彼女は僕に応えてくれるのかを考えてから話す。
彼女が……例え予想と違う回答が来たとしても……返事をしてくれることが嬉しかった。
あの頃は、そんな簡単なことで舞い上がるようになっていた。
それが僕にとっての「初恋」であると気づくまでに、長い時間はかからなかった。
僕と彼女の関係性が大きく変わったとすると……あのアニメのオーディション。
全国ナンバー1の売り上げを誇る少年雑誌で連載されている、売り上げ部数の記録を更新し続けるバケモノのような漫画。
そんな漫画のアニメ化が水面下で進んでいた。
僕は、事務所からその主人公役のオーディションに参加するように言われた。
その漫画のキャラの声優を務めることは、彼女にとっても待望だったことを、僕は知っていた。
まだアニメ化未発表の情報だから、表立って話すことはできない。
オーディションの情報は特定の人間にしか開示されない。
だから、同じ事務所の人間であっても本来は話題に出すことはタブーにされていたし、マネージャーからも口酸っぱく言われていた。
ただ、きっと彼女にもオーディションの話は来ていると、当たり前のように思い込んでいた。
だから、ある日LINEで当たり前のように聞いてしまった。
「君が好きな漫画のオーディションの話きたよね?一緒に対策しない?」と。
いつもなら、1日経てば一言くらいは返事がくるはずだった。
でもその日から、彼女から僕への連絡がぴたりと止まった。
その理由を知ったのは、僕がアニメの主役に合格し、ヒロインにあの大島愛梨が決まった時。
事務所からのオーディションの候補として、彼女は名前すら上がらなかったのだと、マネージャーから聞いた。
あのファミレスの日から、僕と彼女の関係性は徐々に変わっていった。
まず、事務所で偶然会ったら、約束をしなくとも、駅までの帰り道は一緒に帰るようになった。
僕は、借りた本を隅から隅まで読み切った。
なので、毎回の彼女との会話のきっかけは、内容について質問から始めた。
彼女のプライバシーのことを1度だけ聞こうとしたら
「一路さんに話す義務はないと思います」
と、シャットアウトされたので、同じ失敗は踏まないように気をつけた。
何を聞けば、彼女は僕に応えてくれるのかを考えてから話す。
彼女が……例え予想と違う回答が来たとしても……返事をしてくれることが嬉しかった。
あの頃は、そんな簡単なことで舞い上がるようになっていた。
それが僕にとっての「初恋」であると気づくまでに、長い時間はかからなかった。
僕と彼女の関係性が大きく変わったとすると……あのアニメのオーディション。
全国ナンバー1の売り上げを誇る少年雑誌で連載されている、売り上げ部数の記録を更新し続けるバケモノのような漫画。
そんな漫画のアニメ化が水面下で進んでいた。
僕は、事務所からその主人公役のオーディションに参加するように言われた。
その漫画のキャラの声優を務めることは、彼女にとっても待望だったことを、僕は知っていた。
まだアニメ化未発表の情報だから、表立って話すことはできない。
オーディションの情報は特定の人間にしか開示されない。
だから、同じ事務所の人間であっても本来は話題に出すことはタブーにされていたし、マネージャーからも口酸っぱく言われていた。
ただ、きっと彼女にもオーディションの話は来ていると、当たり前のように思い込んでいた。
だから、ある日LINEで当たり前のように聞いてしまった。
「君が好きな漫画のオーディションの話きたよね?一緒に対策しない?」と。
いつもなら、1日経てば一言くらいは返事がくるはずだった。
でもその日から、彼女から僕への連絡がぴたりと止まった。
その理由を知ったのは、僕がアニメの主役に合格し、ヒロインにあの大島愛梨が決まった時。
事務所からのオーディションの候補として、彼女は名前すら上がらなかったのだと、マネージャーから聞いた。