Side悠木
「彼女は私に、とても素晴らしい贈り物を残してくれたからね」
「歩美様の件も、私は、非常に残念でした」
「灯台下暗しとはよく言ったものだな」
「は?」
「同じ遺伝子を持つ体同士だ。拒絶反応が他の人よりも出ない。何故最初にこの方法を思いつかなかったのか」
「お忘れになったのですか?」
「何を」
「ぼっちゃまは、最初にその方法をお考えになりました。でもすぐに取り消しました。雪穂様に泣かれたくないからという理由で」
「……そうだったか?」
「はい」
「そうか」
「そうです」
「……じゃあ、この結果は雪穂に泣かれてしまうのか?」
「もし、お目覚めになれば、間違いなくあなたを責めるでしょうね」
「ははは。そうか。……雪穂は、母親が1番だったからな。いつまで経っても、僕は2番目……いや、もっと下だったか?」
「久しぶりに聞きました。ぼっちゃまが僕と言うのを」
「お前がぼっちゃまと言うからだろう?」
私は、そのまま視線をもう1度雪穂に戻す。
まだ、深い夢の中だろうか。
今、雪穂はどこにいるのだろうか。
まだその答えを掴めるほど、私は彼女の脳を知らない。
それが悔しい。
たくさんの人の脳を診ても、治しても。
私が治したいのはただ一人、雪穂の脳だけだと言うのに。
「そうだ。彼らはどうしている?」
「はい。今日も問題ないご様子です」
「……凪波さんの両親には、話はしたのか?」
「それが……」
「何だ」
「例のTwitter騒動で、凪波さんの過去を知ったみたいで……」
「ああ、そうか」
これ以上は聞かなくても分かった。
「彼女は私に、とても素晴らしい贈り物を残してくれたからね」
「歩美様の件も、私は、非常に残念でした」
「灯台下暗しとはよく言ったものだな」
「は?」
「同じ遺伝子を持つ体同士だ。拒絶反応が他の人よりも出ない。何故最初にこの方法を思いつかなかったのか」
「お忘れになったのですか?」
「何を」
「ぼっちゃまは、最初にその方法をお考えになりました。でもすぐに取り消しました。雪穂様に泣かれたくないからという理由で」
「……そうだったか?」
「はい」
「そうか」
「そうです」
「……じゃあ、この結果は雪穂に泣かれてしまうのか?」
「もし、お目覚めになれば、間違いなくあなたを責めるでしょうね」
「ははは。そうか。……雪穂は、母親が1番だったからな。いつまで経っても、僕は2番目……いや、もっと下だったか?」
「久しぶりに聞きました。ぼっちゃまが僕と言うのを」
「お前がぼっちゃまと言うからだろう?」
私は、そのまま視線をもう1度雪穂に戻す。
まだ、深い夢の中だろうか。
今、雪穂はどこにいるのだろうか。
まだその答えを掴めるほど、私は彼女の脳を知らない。
それが悔しい。
たくさんの人の脳を診ても、治しても。
私が治したいのはただ一人、雪穂の脳だけだと言うのに。
「そうだ。彼らはどうしている?」
「はい。今日も問題ないご様子です」
「……凪波さんの両親には、話はしたのか?」
「それが……」
「何だ」
「例のTwitter騒動で、凪波さんの過去を知ったみたいで……」
「ああ、そうか」
これ以上は聞かなくても分かった。



