memo 凪波
一路朔夜が現れた。
あんな、私が欲しいものを全て持っているのに、それを全部生かそうともしない、嫌な男が。
思い出したくないのに思い出してしまう。
ああいう人が、主役になるべき人なんだと、悔しいくらいに思ってしまう。
言ってしまったのだ。
仕事を舐めないでと。
あの、一路朔夜に。
考えるだけで気分が悪い。
2度と会いたくない。
でも同じ事務所だし、きっとあの人はマネージャーにおされてる。
これからどんどん現場に出てくるだろう。
だからきっと、見かけてしまうことは多いだろう。
大丈夫だろう。
私なんかのことなんて、覚えていないだろう。
ああいう人は、そういうことを平気でする。
大丈夫だ。
信じよう。
あの人は、私のことなんて覚えてない。
おかげで、オーディションの時色々と言われてしまった。
一路朔夜を連れてきて欲しい。
一路朔夜ぼ演技を見たいから、と。
どうして。
私が演技をしにきたのに。
なんであんな、顔だけの人ばかりみんな見るの。
お願い、私を見て。
例え役に大島愛梨が選ばれたとしても、これまでは私のことも見てくれてた。
華はないけど演技だけはしっかりしてるって、大島愛梨と比較して褒めてくれた。
それなのに、今日はどうして。
みんな一路朔夜の事ばかり。
あの人はなんなの。
どうしてあの人は私の前に現れたの。
絶対2度と関わりたくないって思ったのに。
漫喫生活をしていた時に、私を支えてくれた漫画。
あれがアニメ化することが決まったとのこと。
事務所では、オーディション参加者の選別が行われていたらしい。
私は、いつか夢見ていた。
この漫画は、絶対にアニメ化する。
その時には、このキャストに選ばれるくらい力をつけようと頑張った。
でも、私にはオーディションの話が最後までこなかった。
そして一路朔夜には、もちろん主役の話が来たそうだ。
本人から、聞かされた。
どうして、一路朔夜は私をこんなにも惨めにさせるんだろう。
2度と関わりたくない。
あの人の名前は、もう見たくない。
ねえ、お願いだからもう私に連絡をしてこないで。
役作りなんて私に聞かないで。
あなたは役作りなんかしなくても、売れるの。
事務所が売り出してくれるの。
私は役作りを頑張っても、あなたみたいにはなれないの。
お願い。
あなたの名前を見るのが辛い。
ブロックしても、この業界にいれば目にしてしまうあなたの名前。
どうしてあなたと私は同じ時代にいるの。
大島愛梨よりずっと、あなたが憎い。
うらやましい。
あなたの顔も、スタイルも、声も、性別も。
全部全部、私が欲しかった。
私の方がずっと、それを活かせるのに。
お願い。
もう私から離れて。
私に近づかないで。
どうして?
あの人が、私を追いかけてきた。
あの人が、私と話したいと言ってきた。
あの人が、私に触れたいと言ってきた。
あの人が、私を好きだと言ってきた。
分からない。
私はきっと、あの人に酷い事もしたはずなのに。
私はあの人を妬まない日々はなかったと言うのに。
どうして?
あの人はどうして私を好きだと言うの?
分からない。
あの人の心が。
あの人は私にいつも愛していると言ってくる。
私は、ありがとうと答えるようにしている。
そうしないと、返事を急かすように私に触れてくるから。
少し前だったら、あの人と私のそんな関係性も悪くないと思っていたけれど今は違う。
これ以上、愛しているとあの声で言われるのが怖い。
ずっと、見たくなかった。
ずっとずっと、考えたくなかった。
ずっとずっとずっと、逃げていた。
あの人と私の関係性から。
あの人の想いから。
2度と、あの人の姿見られなくなるかもということを考えた。
2度と、あの人から愛していると言われないかもということを考えた。
2度と、あの人から抱きしめられないかもしれないということを考えた。
幸せになれると思ったのに。
こんなはずじゃなかったのに。
どこで歯車が狂ったの?
誰のせいで歯車が狂ったの?
どこまで頑張ればいいの。
もう、立ち上がれない。
立ち上がりたくない。
私はきっとあの人を徹底的に憎むことができる。
そうすれば私は救われる。
自由になれる。
あの人から。
一路朔夜が現れた。
あんな、私が欲しいものを全て持っているのに、それを全部生かそうともしない、嫌な男が。
思い出したくないのに思い出してしまう。
ああいう人が、主役になるべき人なんだと、悔しいくらいに思ってしまう。
言ってしまったのだ。
仕事を舐めないでと。
あの、一路朔夜に。
考えるだけで気分が悪い。
2度と会いたくない。
でも同じ事務所だし、きっとあの人はマネージャーにおされてる。
これからどんどん現場に出てくるだろう。
だからきっと、見かけてしまうことは多いだろう。
大丈夫だろう。
私なんかのことなんて、覚えていないだろう。
ああいう人は、そういうことを平気でする。
大丈夫だ。
信じよう。
あの人は、私のことなんて覚えてない。
おかげで、オーディションの時色々と言われてしまった。
一路朔夜を連れてきて欲しい。
一路朔夜ぼ演技を見たいから、と。
どうして。
私が演技をしにきたのに。
なんであんな、顔だけの人ばかりみんな見るの。
お願い、私を見て。
例え役に大島愛梨が選ばれたとしても、これまでは私のことも見てくれてた。
華はないけど演技だけはしっかりしてるって、大島愛梨と比較して褒めてくれた。
それなのに、今日はどうして。
みんな一路朔夜の事ばかり。
あの人はなんなの。
どうしてあの人は私の前に現れたの。
絶対2度と関わりたくないって思ったのに。
漫喫生活をしていた時に、私を支えてくれた漫画。
あれがアニメ化することが決まったとのこと。
事務所では、オーディション参加者の選別が行われていたらしい。
私は、いつか夢見ていた。
この漫画は、絶対にアニメ化する。
その時には、このキャストに選ばれるくらい力をつけようと頑張った。
でも、私にはオーディションの話が最後までこなかった。
そして一路朔夜には、もちろん主役の話が来たそうだ。
本人から、聞かされた。
どうして、一路朔夜は私をこんなにも惨めにさせるんだろう。
2度と関わりたくない。
あの人の名前は、もう見たくない。
ねえ、お願いだからもう私に連絡をしてこないで。
役作りなんて私に聞かないで。
あなたは役作りなんかしなくても、売れるの。
事務所が売り出してくれるの。
私は役作りを頑張っても、あなたみたいにはなれないの。
お願い。
あなたの名前を見るのが辛い。
ブロックしても、この業界にいれば目にしてしまうあなたの名前。
どうしてあなたと私は同じ時代にいるの。
大島愛梨よりずっと、あなたが憎い。
うらやましい。
あなたの顔も、スタイルも、声も、性別も。
全部全部、私が欲しかった。
私の方がずっと、それを活かせるのに。
お願い。
もう私から離れて。
私に近づかないで。
どうして?
あの人が、私を追いかけてきた。
あの人が、私と話したいと言ってきた。
あの人が、私に触れたいと言ってきた。
あの人が、私を好きだと言ってきた。
分からない。
私はきっと、あの人に酷い事もしたはずなのに。
私はあの人を妬まない日々はなかったと言うのに。
どうして?
あの人はどうして私を好きだと言うの?
分からない。
あの人の心が。
あの人は私にいつも愛していると言ってくる。
私は、ありがとうと答えるようにしている。
そうしないと、返事を急かすように私に触れてくるから。
少し前だったら、あの人と私のそんな関係性も悪くないと思っていたけれど今は違う。
これ以上、愛しているとあの声で言われるのが怖い。
ずっと、見たくなかった。
ずっとずっと、考えたくなかった。
ずっとずっとずっと、逃げていた。
あの人と私の関係性から。
あの人の想いから。
2度と、あの人の姿見られなくなるかもということを考えた。
2度と、あの人から愛していると言われないかもということを考えた。
2度と、あの人から抱きしめられないかもしれないということを考えた。
幸せになれると思ったのに。
こんなはずじゃなかったのに。
どこで歯車が狂ったの?
誰のせいで歯車が狂ったの?
どこまで頑張ればいいの。
もう、立ち上がれない。
立ち上がりたくない。
私はきっとあの人を徹底的に憎むことができる。
そうすれば私は救われる。
自由になれる。
あの人から。



