Side朝陽
「何が本気だ!?本気で彼女を殺すなんて、よく言えるな!」
この言葉で、俺の中の何かが切れた。
俺が、本当に好きで凪波を殺す訳ないだろう!
そもそも、俺と凪波は結婚が決まっていた。
その日が来るのを待つだけだったのに。
お前があの日、あの夜に凪波にさえ会いにこなければ。
今日も俺はりんごの世話をしてから、凪波のところに行って、結婚式について話すはずだったんだ。
幸せに、なるはずだったんだ。
それを壊したのは……お前なんだよ、一路……。
そんな、抑えていた一路への憎しみが一気に膨れ上がった俺は、凪波のノートを開いてしまった。
明らかに、一路宛だと分かるページが最後の方にある。
そこに書かれていた、一路への凪波の憎悪にも似た嫉妬を、この男は知っているのだろうか?
いや、知るはずがない。
もし知っていたならば、分かったはずなのだ。
凪波が、本当は何から逃げたかったのか。
だから俺は読んでやったんだ。
あいつが聞くべきところを。
あいつが、2度と忘れないように。
「あの人を知った時、私は嫉妬した。あの人と出逢わせた全てを、呪った。あの人を存在させた神様が、憎かった。これが、遺書に書かれていた最後だ」
「何を……言いたい……」
「わからないのか?一路」
返事がない。
考えているのか?
心当たりを?
……今更遅いんだよ。バーカ。
「凪波が残した、お前への本心だよ」
「僕への……本心だと……?」
「一路。お前、凪波が愛しているのは自分だと言ったよな。だったら何でこんなもんが俺の手元にあるんだよ」
「嘘をつくな!!でたらめだ!!そんなこと、書いてあるはず」
「他にもあるぞ」
俺は、最後のページを捲る。
このページにいる凪波は、一路への気遣いと愛で溢れている。
俺には、最後の最後までこんな風に思ってはくれなかった。
でも、凪波。
お前は、この思いのせいで、死のうとしたんだろう?
記憶を無くそうとしたんだろう?
それを悠木先生に利用されたんだろ?
脳をいじられて、記憶を失って、高校最後の日に戻ってきてくれたんだよな。
じゃあ、凪波は俺のところに戻るためにそうなったって考えてもいいじゃないか。
だから凪波。
「でも、もう何が自分のためになるのか、考えるのも疲れてしまった。誰のためにも、生きていきたくない。いっそ、神様の導くまま、流されたくなった。こうも書いてあったんだ。……もう、お前のためには生きて行きたくないってことなんじゃないのか?お前の彼女になったせいで、凪波の人生はメチャクチャになったんじゃないのか?声優をやめないといけなくなったんじゃないのか?なあ、一路朔夜!!」
戻ってこい。凪波。
俺は、大丈夫だよ。
ちゃんと、受け入れてみせるから。
お前を支えられるような男になってみせるから。
だから……許してくれよ。
「何が本気だ!?本気で彼女を殺すなんて、よく言えるな!」
この言葉で、俺の中の何かが切れた。
俺が、本当に好きで凪波を殺す訳ないだろう!
そもそも、俺と凪波は結婚が決まっていた。
その日が来るのを待つだけだったのに。
お前があの日、あの夜に凪波にさえ会いにこなければ。
今日も俺はりんごの世話をしてから、凪波のところに行って、結婚式について話すはずだったんだ。
幸せに、なるはずだったんだ。
それを壊したのは……お前なんだよ、一路……。
そんな、抑えていた一路への憎しみが一気に膨れ上がった俺は、凪波のノートを開いてしまった。
明らかに、一路宛だと分かるページが最後の方にある。
そこに書かれていた、一路への凪波の憎悪にも似た嫉妬を、この男は知っているのだろうか?
いや、知るはずがない。
もし知っていたならば、分かったはずなのだ。
凪波が、本当は何から逃げたかったのか。
だから俺は読んでやったんだ。
あいつが聞くべきところを。
あいつが、2度と忘れないように。
「あの人を知った時、私は嫉妬した。あの人と出逢わせた全てを、呪った。あの人を存在させた神様が、憎かった。これが、遺書に書かれていた最後だ」
「何を……言いたい……」
「わからないのか?一路」
返事がない。
考えているのか?
心当たりを?
……今更遅いんだよ。バーカ。
「凪波が残した、お前への本心だよ」
「僕への……本心だと……?」
「一路。お前、凪波が愛しているのは自分だと言ったよな。だったら何でこんなもんが俺の手元にあるんだよ」
「嘘をつくな!!でたらめだ!!そんなこと、書いてあるはず」
「他にもあるぞ」
俺は、最後のページを捲る。
このページにいる凪波は、一路への気遣いと愛で溢れている。
俺には、最後の最後までこんな風に思ってはくれなかった。
でも、凪波。
お前は、この思いのせいで、死のうとしたんだろう?
記憶を無くそうとしたんだろう?
それを悠木先生に利用されたんだろ?
脳をいじられて、記憶を失って、高校最後の日に戻ってきてくれたんだよな。
じゃあ、凪波は俺のところに戻るためにそうなったって考えてもいいじゃないか。
だから凪波。
「でも、もう何が自分のためになるのか、考えるのも疲れてしまった。誰のためにも、生きていきたくない。いっそ、神様の導くまま、流されたくなった。こうも書いてあったんだ。……もう、お前のためには生きて行きたくないってことなんじゃないのか?お前の彼女になったせいで、凪波の人生はメチャクチャになったんじゃないのか?声優をやめないといけなくなったんじゃないのか?なあ、一路朔夜!!」
戻ってこい。凪波。
俺は、大丈夫だよ。
ちゃんと、受け入れてみせるから。
お前を支えられるような男になってみせるから。
だから……許してくれよ。



