お願い、私を見つけないで 〜誰がお前を孕ませた?/何故君は僕から逃げた?〜

Side朔夜

郷森一果が僕とのラインを一方的に切り上げてから、僕も最後の仕上げをするために、生放送を継続したままTwitterやネット掲示板を確認していた。

凪波への勝手な誹謗中傷で溢れかえっていたTwitterは、僕が郷森一果の名前を出してからは、どうにか正しさを取り戻すことができたのではないか、と思った。

宮川のりえと郷森一果。
叩かれるべきことをした人間が叩かれるべき世界。
それこそがSNSの正しい使い方だと、僕は改めて思った。

凪波がされたことと同じことをすれば、この2人はきっとこう思うだろう。

「死んだ方がましだ」

と。
ただ考えるだけではない。
徹底的に追い詰めて、行動せずにはいられないようにする。
僕の復讐はそこからが本当の始まり。

凪波をこの世に呼び戻すためには、決して存在してはいけない2人。
ならばいっそ、この2人の体を悠木に捧げよう。
そして、この2人を使って、凪波を甦らせるんだ。
2人もいるなら、どちらか片方失敗したところで問題はないだろう……。

そんなことを考えながら、僕が次の作戦に移ろうとした時だった。

山田さんが、突然スマホを差し出してきた。


「これは……?」
「緊急の用とのことです」
「誰からですか?」
「出ればお分かりになるかと」

そう、淡々と説明した山田さんは、すぐに一歩引いた。
僕は仕方がなく、差し出されたスマホに耳をあてた。

「もしもし、一路か?」
「…………海原…………?」
「ちょっと、話したいことがある」


電話口から聞こえる海原の声は、どこか落ち着いているような気がした。