お願い、私を見つけないで 〜誰がお前を孕ませた?/何故君は僕から逃げた?〜

Side悠木

どうやら。

招かれざる客も来ていたらしいな。

信じていた彼のあの言葉を聞いて、果たしてどう思ったのか……想像に難くない。

まあ、一路朔夜のおかげで、そちらの方もどうなったとしても、私の計画そのものには支障は出ないかもしれない。

ならばいっそ、あちらには、あちらの流されるまま進んでもらおうか。

それがどんな結果になったとしても、まだ私の作戦のピースは残されているのだから。

そのピースだけは、私自身の手で死守しなくてはいけない。

これが終われば、私はそちらに集中しなければ。

だから、それ以外のことはもう、流れに任せることにしよう。






私は、雪穂を蘇らせるためだけに、この世界に存在している。

この世界は、雪穂がいなければ私にとっては意味がない。

私は、雪穂と話せなくなってから、時が止まったままだ。

この時を進めたくて仕方がない。

それは、私の使命だとすら思っている。

私は、雪穂を復活させるために、この世に生を受けたのだと思うと、つまらないと思っていたこの人生にも意味があると思えたのだ。

その想いだけは、誰にも立ち入らせることもしない。






「凪波さん。君の役割はもう終わったよ」


私は、この後地獄の世界に舞い戻らされる、哀れな女性の脳を想いながらメスを握ることにする。

そして、この脳の蓋が閉じた時にどうなるのかは、もう私には分かる必要はないだろう。




「もう1度目覚めたら、君はまたこの世界に絶望するのだろうか」



でも申し訳ないが、その絶望を選んだのは私ではない。

君を愛する者たちだ。