Side朝陽
今……何が起きたんだ?
情報提供者として、一路と会話をしていた匿名の人間。
凪波と同じ養成所にいたということだけが、最初の情報。
それは俺や、俺と同じように流れを見ていた人間全員同じスタートだった。
そして一路もまた、同じスタートだとばかり思っていた。
ラインのやり取りをしている時の一路の表情も、俺たちには見えていたが、特に変わった様子はなかった……はずだった。
それが急に変わったのが、相手が凪波に対してこう打ち込んだ時。
畑野さんはずっと恨まれていないといけないんです。
もし、俺が声を届けることが出来ていたなら、すぐに反論していただろう。
ふざけんなと、叫んだだろう。
それは、俺が凪波側の人間だからだ。
そして、それが普通の反応だと思っていた。
同じ反応が、一路から来ると思っていた。
でも一路は違った。
笑ったんだ。
あいつは。
待ってましたとばかりに。
その微かな笑いに気づいた人は、俺以外はおそらくいなかった。
コメント欄を見ても、特に一路の表情に言及した人はいなかったから。
皆、情報提供者の告白の内容を元に、凪波を叩くことで精一杯だったからかもしれないが。
そこから、ラインの空気が変わった。
一路は、相手の反応を待たずに次々と書き込んでいった。
その文字列に、いつしか既読がつかなかくなっても、一路は書き続けていた。
実は一路が話していた相手こそが、一路が探していたもう1人の声の主であったこと。
そして、その人の名前が郷森一果であるということ。
その一連の流れがスパッと切れた瞬間だった。
俺の耳に、聞き覚えのない着信音が入ってきたのが。
俺が振り返ると同時に、悠木先生が見たこともない別のスマホを耳にあてていた。
「ああ、そうか。わかった。残念だ」
残念?
何が?
悠木先生は、スマホを切ると同時に、俺を見た。
「一路君には申し訳ないが、彼の努力が1つ泡になってしまったようだな」
「どういうことですか?」
「今の電話は知り合いの病院からだった」
「え?」
何故、急にそんなことを言い出すのだろう。
病院からの電話と、一路の努力の一体何がつながっている?
俺の戸惑いを瞬時に読み取った悠木先生は、俺に対しても憐れみの目を向けてからこう言った。
「宮川のりえが電車に飛び込んだそうだ。即死だったよ」
今……何が起きたんだ?
情報提供者として、一路と会話をしていた匿名の人間。
凪波と同じ養成所にいたということだけが、最初の情報。
それは俺や、俺と同じように流れを見ていた人間全員同じスタートだった。
そして一路もまた、同じスタートだとばかり思っていた。
ラインのやり取りをしている時の一路の表情も、俺たちには見えていたが、特に変わった様子はなかった……はずだった。
それが急に変わったのが、相手が凪波に対してこう打ち込んだ時。
畑野さんはずっと恨まれていないといけないんです。
もし、俺が声を届けることが出来ていたなら、すぐに反論していただろう。
ふざけんなと、叫んだだろう。
それは、俺が凪波側の人間だからだ。
そして、それが普通の反応だと思っていた。
同じ反応が、一路から来ると思っていた。
でも一路は違った。
笑ったんだ。
あいつは。
待ってましたとばかりに。
その微かな笑いに気づいた人は、俺以外はおそらくいなかった。
コメント欄を見ても、特に一路の表情に言及した人はいなかったから。
皆、情報提供者の告白の内容を元に、凪波を叩くことで精一杯だったからかもしれないが。
そこから、ラインの空気が変わった。
一路は、相手の反応を待たずに次々と書き込んでいった。
その文字列に、いつしか既読がつかなかくなっても、一路は書き続けていた。
実は一路が話していた相手こそが、一路が探していたもう1人の声の主であったこと。
そして、その人の名前が郷森一果であるということ。
その一連の流れがスパッと切れた瞬間だった。
俺の耳に、聞き覚えのない着信音が入ってきたのが。
俺が振り返ると同時に、悠木先生が見たこともない別のスマホを耳にあてていた。
「ああ、そうか。わかった。残念だ」
残念?
何が?
悠木先生は、スマホを切ると同時に、俺を見た。
「一路君には申し訳ないが、彼の努力が1つ泡になってしまったようだな」
「どういうことですか?」
「今の電話は知り合いの病院からだった」
「え?」
何故、急にそんなことを言い出すのだろう。
病院からの電話と、一路の努力の一体何がつながっている?
俺の戸惑いを瞬時に読み取った悠木先生は、俺に対しても憐れみの目を向けてからこう言った。
「宮川のりえが電車に飛び込んだそうだ。即死だったよ」



