Side朝陽
「この名前……」
一路から直接聞いた名前。
そして、凪波が残したノートにも、しっかりと書かれていた名前でもあった。
「気づきませんでしたか?」
悠木先生が俺に、まさかそんなことはないよね、と言いたげなテンションで聞いてくる。
「何をですか」
「ああ、気づかなかったんですね。でもそうか、君はそこまで声優のことにはきっと詳しくないんでしょうね」
「…………先生は声優詳しいのかよ」
「声優に詳しいかは分かりませんが、1度聞いたことのある声を忘れることはないですね」
さりげなく能力自慢されてイラッとした。
「それで、俺が一体何に気づかなかったって?」
「いたでしょう、宮川のりえが」
「どこに」
「彼が流した音声の中に」
「…………は?」
俺は、急いで凪波が残してくれたノートを見た。
宮川という文字があるページには、その人間との確執らしきものがあることは、見え隠れしていた。
とはいえ、さっきの音声が事実なら……。
「宮川が、凪波をあんな酷い目に遭わせたのか」
「そうみたいですね。でも宮川さんのことは、流石に彼もすぐに分かったのでは?」
それもそうだ。
同じ事務所にいるのならばすぐに見当つくだろう。
復讐といっても、こんなまどろっこしいことをしなくても、もっと直接的にできる方法が……一路ならあるのでは?
ただ、聞いた話では一路も宮川の事を毛嫌いしていた印象があったが。
それでも、だ。
こんなわざわざ、凪波の声を公開処刑する必要なんて、なかった。
「違うからですよ」
悠木先生は、俺の考えを表情から読んだのだろう。
脳内に浮かんだ俺の言葉に対して、的確に返事をしてきた。
「何が」
「彼女だけが、彼の目的ではないからですよ」
俺は、次から次へと流れてくる宮川に関する情報を眺めながら、ふとこの生放送の結末はどこにいくのだろうと怖くなった。
この騒動のきっかけは、少なくとも俺が投げた言葉に変わりはない。
俺は、いくら一路が拾ったからといっても……自分で投げた言葉の影響力の凄まじさに慄いていた。
「おや、また動きがあったみたいですね」
「この名前……」
一路から直接聞いた名前。
そして、凪波が残したノートにも、しっかりと書かれていた名前でもあった。
「気づきませんでしたか?」
悠木先生が俺に、まさかそんなことはないよね、と言いたげなテンションで聞いてくる。
「何をですか」
「ああ、気づかなかったんですね。でもそうか、君はそこまで声優のことにはきっと詳しくないんでしょうね」
「…………先生は声優詳しいのかよ」
「声優に詳しいかは分かりませんが、1度聞いたことのある声を忘れることはないですね」
さりげなく能力自慢されてイラッとした。
「それで、俺が一体何に気づかなかったって?」
「いたでしょう、宮川のりえが」
「どこに」
「彼が流した音声の中に」
「…………は?」
俺は、急いで凪波が残してくれたノートを見た。
宮川という文字があるページには、その人間との確執らしきものがあることは、見え隠れしていた。
とはいえ、さっきの音声が事実なら……。
「宮川が、凪波をあんな酷い目に遭わせたのか」
「そうみたいですね。でも宮川さんのことは、流石に彼もすぐに分かったのでは?」
それもそうだ。
同じ事務所にいるのならばすぐに見当つくだろう。
復讐といっても、こんなまどろっこしいことをしなくても、もっと直接的にできる方法が……一路ならあるのでは?
ただ、聞いた話では一路も宮川の事を毛嫌いしていた印象があったが。
それでも、だ。
こんなわざわざ、凪波の声を公開処刑する必要なんて、なかった。
「違うからですよ」
悠木先生は、俺の考えを表情から読んだのだろう。
脳内に浮かんだ俺の言葉に対して、的確に返事をしてきた。
「何が」
「彼女だけが、彼の目的ではないからですよ」
俺は、次から次へと流れてくる宮川に関する情報を眺めながら、ふとこの生放送の結末はどこにいくのだろうと怖くなった。
この騒動のきっかけは、少なくとも俺が投げた言葉に変わりはない。
俺は、いくら一路が拾ったからといっても……自分で投げた言葉の影響力の凄まじさに慄いていた。
「おや、また動きがあったみたいですね」



