お願い、私を見つけないで 〜誰がお前を孕ませた?/何故君は僕から逃げた?〜

Side朝陽

「凪波……お前……」

凪波の文章を読んで、何となく見えてはいたが、今ようやく凪波が直面していた誹謗中傷の怖さを知った。
もしあの文字が全て、自分に向けられていたら?
その文字達から、凪波が逃げられなかったとしたら?
そんな事を考えていると

「なるほど、こういう使い方を彼はするんですね」

いつの間にか真横にいて、同じ画面を見つめていた悠木先生が耳元で囁いた。

「なるほどって、どういうことですか?」

俺が尋ねると、悠木先生は画面に少しだけ触れた。
コメント欄が、全く動かなくなった。
なので、じっくりとそこに書かれている文字を追いかけることができた。
悠木先生はその中から、ある一文を指差してこう言った。



「これが、一路朔夜がこの生放送をした本当の理由ですよ」


そこに書かれていたのは、宮川のりえという、俺もさっき知った名前。
そして……住所と電話番号、Twitterのアカウント名だった。