Side朝陽
「聞こえましたか。皆さん。この……暴力を受けていた女性こそが、僕を一路朔夜にしてくれた、僕の愛する人です」
コメント欄は、どんどん流れていき、きちんと読み取ることはできない。
でも……。
「マジかよ」
「えぐ」
「てか妊娠してたってこと?」
「でも一路朔夜以外の子供妊娠してたって、ビッチじゃん」
文字列の津波は、容赦無く襲い掛かる。
1つ1つもし読んでいたら、頭がおかしくなるような気がした。
分かっているのに、特にネガティブな文字の並びはどうしたって目についてしまう。
凪波を否定する言葉ばかり、俺の脳内にするりと入り込んでしまう。
二股女。
キモい。
一路朔夜をたぶらかした天罰。
アソコが腐ってる。
その言葉を受け取った人間がどう思うかなんて、一ミリも考えていないのか。
それとも考えた上での発言なのか。
どちらにしても、その威力の大きさも効果も変わらない。
受け取った側にとっては。
「皆さんに聞きたいことがあります」
一路の、はっきりと記憶に残るような強い声が届く。
「もし、自分が心から愛する人が、僕の愛する人と同じ目に遭ったらどうしますか?」
どうしますか……だと?
「どう思いますか?」
どう思いますか……だと?
俺は今、本物かも分からないというのに。
一路が作ったフェイク音声な可能性もあるというのに。
俺の腹の中は、地獄の炎を飼っているのではないかと思うほどに、怒りに満ちている。
凪波に暴力を振るった女達にも。
たったこれだけの音だけで、凪波という人格を勝手に妄想し、叩き始める浅すぎる人間達にも。
そして……凪波の……誰も知る必要がなかった声をこんな形で世に広めた一路朔夜にも。
「殺してやりたい」
これが、今の俺の、素直な思い。
「聞こえましたか。皆さん。この……暴力を受けていた女性こそが、僕を一路朔夜にしてくれた、僕の愛する人です」
コメント欄は、どんどん流れていき、きちんと読み取ることはできない。
でも……。
「マジかよ」
「えぐ」
「てか妊娠してたってこと?」
「でも一路朔夜以外の子供妊娠してたって、ビッチじゃん」
文字列の津波は、容赦無く襲い掛かる。
1つ1つもし読んでいたら、頭がおかしくなるような気がした。
分かっているのに、特にネガティブな文字の並びはどうしたって目についてしまう。
凪波を否定する言葉ばかり、俺の脳内にするりと入り込んでしまう。
二股女。
キモい。
一路朔夜をたぶらかした天罰。
アソコが腐ってる。
その言葉を受け取った人間がどう思うかなんて、一ミリも考えていないのか。
それとも考えた上での発言なのか。
どちらにしても、その威力の大きさも効果も変わらない。
受け取った側にとっては。
「皆さんに聞きたいことがあります」
一路の、はっきりと記憶に残るような強い声が届く。
「もし、自分が心から愛する人が、僕の愛する人と同じ目に遭ったらどうしますか?」
どうしますか……だと?
「どう思いますか?」
どう思いますか……だと?
俺は今、本物かも分からないというのに。
一路が作ったフェイク音声な可能性もあるというのに。
俺の腹の中は、地獄の炎を飼っているのではないかと思うほどに、怒りに満ちている。
凪波に暴力を振るった女達にも。
たったこれだけの音だけで、凪波という人格を勝手に妄想し、叩き始める浅すぎる人間達にも。
そして……凪波の……誰も知る必要がなかった声をこんな形で世に広めた一路朔夜にも。
「殺してやりたい」
これが、今の俺の、素直な思い。