Side朝陽
YouTubeなんてアプリ、せいぜい仕事をする時に聞くBGMか見逃したテレビ番組を探すくらいしか、俺は使ったことがなかった。
だから、次から次へと書き込まれる、チャット欄という存在も見たことはなかったし、ライブ配信というものができるということも知らなかった。
悠木先生が見せてきたYouTubeの画面には、確かに一路が映っていた。
一路がこれまで実写で出ていたようなドラマやバラエティーとは、空気感が違う。
背景は白。
もし服が喪服だったら、葬式の挨拶と勘違いされてもおかしくない。
「何だ……これ……」
「なるほど、彼らしい方法だ」
悠木先生は、一体これだけで何を分かったというのだろう。
「彼は、決断したみたいだね」
「っ……!?」
何を?決断した……と?
「まさか……あいつ……」
決めたのか?
凪波を目覚めさせるか、このまま眠らせるか。
だとしても……これは……。
「先生、これは一体何なんですか」
「YouTubeのライブ配信らしいね。彼はリアルタイムで撮影し、全世界に流している」
「何のために……」
悠木先生と話している間に、ライブ配信は次から次へと進んでいく。
チャット欄に一路へのリクエストが書かれ、それを一路が答えていく……という、声優ファンならさぞ喜ぶであろう流れが、たった今まで行われていた。
それの一体何が、凪波と関係があるというのか。
いや、そもそも何故このタイミングで、こんな放送を一路はしている?
これが、今日の仕事だったというのか……?
分からない。
一路は、何をしようとしている?
「彼のことが分からない……と言いたげな顔だね」
「先生は、分かるんですか」
「ああ、分かってしまうよ。面白いくらいにね。彼は間違いなく、私と同じ人種だ」
「同じ……?」
俺は尋ねる。
ゆっくりと、悠木先生は俺にその顔を向ける。
口角を不気味なまでに上げた笑みを浮かべながらこう言った。
「愛する女さえいれば、誰がどうなっても構わない。そう考える人種のことさ」
YouTubeなんてアプリ、せいぜい仕事をする時に聞くBGMか見逃したテレビ番組を探すくらいしか、俺は使ったことがなかった。
だから、次から次へと書き込まれる、チャット欄という存在も見たことはなかったし、ライブ配信というものができるということも知らなかった。
悠木先生が見せてきたYouTubeの画面には、確かに一路が映っていた。
一路がこれまで実写で出ていたようなドラマやバラエティーとは、空気感が違う。
背景は白。
もし服が喪服だったら、葬式の挨拶と勘違いされてもおかしくない。
「何だ……これ……」
「なるほど、彼らしい方法だ」
悠木先生は、一体これだけで何を分かったというのだろう。
「彼は、決断したみたいだね」
「っ……!?」
何を?決断した……と?
「まさか……あいつ……」
決めたのか?
凪波を目覚めさせるか、このまま眠らせるか。
だとしても……これは……。
「先生、これは一体何なんですか」
「YouTubeのライブ配信らしいね。彼はリアルタイムで撮影し、全世界に流している」
「何のために……」
悠木先生と話している間に、ライブ配信は次から次へと進んでいく。
チャット欄に一路へのリクエストが書かれ、それを一路が答えていく……という、声優ファンならさぞ喜ぶであろう流れが、たった今まで行われていた。
それの一体何が、凪波と関係があるというのか。
いや、そもそも何故このタイミングで、こんな放送を一路はしている?
これが、今日の仕事だったというのか……?
分からない。
一路は、何をしようとしている?
「彼のことが分からない……と言いたげな顔だね」
「先生は、分かるんですか」
「ああ、分かってしまうよ。面白いくらいにね。彼は間違いなく、私と同じ人種だ」
「同じ……?」
俺は尋ねる。
ゆっくりと、悠木先生は俺にその顔を向ける。
口角を不気味なまでに上げた笑みを浮かべながらこう言った。
「愛する女さえいれば、誰がどうなっても構わない。そう考える人種のことさ」