Side朔夜

それは、本当なら貰ってすぐに処分したかったもの。
だけど、忙しさにかまけて、そのまま放置してしまっていたもの。


「これは、僕がある人から貰った高級風俗店のリストです」

凪波との生活が、盗撮という形で何物かに侵害された時に渡されたものだ。
僕は、その名前を1つずつ読み上げる。
コメントには

「え?何でそんなもん持ってるの?」
「やだー一路様はクリーンでいて欲しかった」
「逆枕ってやつ?」

と好き勝手に書かれている。
僕そのものを批判するコメントもいくつか見受けられたが、まあこれくらいは許容範囲だ。
事実ではないことを、いくら刃物として研いだとしても僕には意味がないから。

「皆さんは気になりませんか。僕が何故、こんなリストを持っているのか」

僕は視聴者に問いかける。

「気になる気になる」
「早く教えろ」
「別に」
「そんなことより、したの?してないの?」
「やっぱ枕だったのか」
「顔だけ声優」

次から次へと書き込まれるコメントが、祭りを生み出す。
その祭りが、Twitterを通じて新たな視聴者を生み、その視聴者が更に祭りを盛り上げる。

いいぞ、もっとだ。
もっと来い。