Side悠木

なるほど、そうきたか……。

確かに私は、彼には行動をしてもらいたいと思っていた。

この計画にとって、非常に厄介な存在を片づけるために。

でもまさか、そんな方法があったとはね。

自らの手は汚さない。

でも確実に、目的は達成できる。

それも、自分が最も愛する人が与えた彼最大の武器で……。


実に滑稽だ。

だが、そういう皮肉さはこの長い歴史の中で幾度となく繰り返されている。

まるでそうすることも、されることも運命であるかのように。



きっと誰にも、彼を止めることはできない。

資格もない。

私はその結果を受け入れ、愛する彼女のために使うだけだ。

どちらに転んでも、私に損は何もない。

ただ、準備をすればいいだけだ。



さあ、一路朔夜君。

見せてもらおうか。

君の愛の強さというものを。


もしかするとそれこそが、奇跡を起こしてしまうのかも、しれないね。