Side朔夜

山田さんは、どこまで僕のことを読んでいたのだろう。
僕が欲しかった情報は、言ったらすぐに

「これですね」

と次々と間髪入れず渡してきた。
ここまでくると、一執事がどうにかできるレベルではない。
絶対に、悠木が絡んでいる。
僕の中の……ほんの少ししかないかもしれないが……第六感がそう言ってくる。

でも、この時の僕は、悠木が何故これだけの情報を持っているのかよりも、ずっと大事なことがある。

「山田さん」
「何でしょう」
「この後、僕が指定する場所まで移動してもらいますか？」
「仰せのままに」

そして僕は目的地を告げ、車は流れるように走り出した。
あの二人の横を、ただ静かに通り過ぎる。
きっとあの二人は、この車にいる人間が、この後自分達に何をするか微塵も考えないまま、下衆な笑いを響かせるのだろう。

凪波がいるこの空の下で、そんな汚らしい声を空気に溶かすなど、許されるはずがない。
甲高くて甘ったるくて、吐き気がしそうなまでの声。
凪波の爽やかで落ち着く声よりも、ずっとこの世界にとっては公害的な存在だろう。


「山田さん。もう1つ頼まれてくれますか？」

僕は、この後しようとしていることの準備をしながら山田さんに問う。

「何でしょう」
「僕が今からすることを、海原に見せることはできますか？」
Side朔夜

山田さんは、どこまで僕のことを読んでいたのだろう。
僕が欲しかった情報は、言ったらすぐに

「これですね」

と次々と間髪入れず渡してきた。
ここまでくると、一執事がどうにかできるレベルではない。
絶対に、悠木が絡んでいる。
僕の中の……ほんの少ししかないかもしれないが……第六感がそう言ってくる。

でも、この時の僕は、悠木が何故これだけの情報を持っているのかよりも、ずっと大事なことがある。

「山田さん」
「何でしょう」
「この後、僕が指定する場所まで移動してもらいますか？」
「仰せのままに」

そして僕は目的地を告げ、車は流れるように走り出した。
あの二人の横を、ただ静かに通り過ぎる。
きっとあの二人は、この車にいる人間が、この後自分達に何をするか微塵も考えないまま、下衆な笑いを響かせるのだろう。

凪波がいるこの空の下で、そんな汚らしい声を空気に溶かすなど、許されるはずがない。
甲高くて甘ったるくて、吐き気がしそうなまでの声。
凪波の爽やかで落ち着く声よりも、ずっとこの世界にとっては公害的な存在だろう。


「山田さん。もう1つ頼まれてくれますか？」

僕は、この後しようとしていることの準備をしながら山田さんに問う。

「何でしょう」
「僕が今からすることを、海原に見せることはできますか？」