Side朔夜

「あの声……!!」

女が2人、やけに楽しそうに歩いている。
どちらも化粧がけばくて、露出が高い格好をしていたが、片方が誰なのかはすぐに分かった。

「宮川のりえ……」

女は化粧とファッションで化ける。
そういうことを教えてくれたのも、やっぱり凪波だった。

「どうしますか?」
「え?」
「追いかけますか?一路様」

復讐をするために……?
それを今ここで聞くのは……愚問だと思った。
その代わりに、僕はもう少し知りたいと思った。

「山田さん……あなた、他に何知ってますか?」
「何故、そんな事をお聞きになるのです?」
「何故だと思いますか?」

僕の回答に、山田さんは何かに気付いたのだろう。

「それが、あなたの答えなのですね」

その答えが一体何か、山田さんは言わなかった。
でも、表情が、話し方が、僕の心を読み取った事を伝えてくる。

「そうですね」

僕は、スマホを出してからあの2人の写真をまず撮る。
それから、山田さんにこう言った。


「今から、僕が欲しいものを用意してもらえます?それから、この後の仕事はキャンセルになるので……僕の代わりに連絡しておいてもらえます?」
「かしこまりました、一路様」