Side朔夜

その消え方は、リセットに近い。
彼女がこの世に……僕の前に存在していなかったと言われても、不思議ではない。

……いや違う。
確かに存在していた。
僕は確実に彼女の温もりを、匂いを、滑らかさを、声も、そして彼女の全てを覚えている。


必ず、僕の元に連れ戻して、君が幻なんかじゃなかったことを証明したい。





そして、僕は「あの人」に近づいた。