memo凪波

毎日私は知らない男に抱かれている。
あの子にお金を払うため。
あの子の行動を止めるため。
それがあの子が私に出した条件だった。
昔はこんなこと平気だったのに、今は男に触れられるだけで吐きそうになる。
抱かれることが、生きるための手段だけではないことを教わってしまったから。
あの人から。
いっそ知らなければ良かった。
温かい幸せなんて。
いっそ知らなければ良かった。
体の混じり合いが愛を伝える行為だなんて。
せめてこの行為が性欲を満たすための、仕方がない行為であれば良かった。
そうすれば、男たちから抱かれることは生物の本能を満たすためだけだと割り切れた。
女の証を男たちが触れるたびに、あの人が与えてくれた愛が汚されていく。
私が、あの人がくれた愛を汚している。
どんどん波が重なっていくように、私は男たちの欲に飲まれていく。
中に受け入れさせられる。
いっそ心を失うことができたら。
記憶を失うことができたら。
私はまだ生きることが許されるのだろうか。
あの人が私の夢を叶えてくれる、その瞬間まで。