memo凪波

あの子に会った
ずっと私のことを見ていたと、言った。
わかっていたと言った。
私が、あの子の秘密を暴露したのだと。
わかっていて、私を見ていたのだと言った。
謝ってくるのを待っていたと言った。
でも、何年経っても私はこなかったと言った。
自分の代わりに、私の名前がアニメのキャスト欄に載るのが許せないと言った。
主役じゃないのに、と私がつい言ってしまうと、あの子は私を殴ってきた。
私のせいで、そのチャンスすら潰されたのに、と履き潰された。
私は星が近すぎて気づかなかった。
私もまた、星として見られてしまう立場だったことを。
そして、私の見られ方は、あの人みたいに決して綺麗なものじゃなかった。
あの子は言った。
私の弱みは全て知っていると。
そして、出されてしまったのは、私とあの人のツーショットと録音。
事務所で油断して素をを出してしまった日のもの。
なぜこれを手に入れたのかと聞いた。
そんなことをあなたに聞く資格があるのか、とあの子は言った。
これを使うタイミングは全て自分が握っていると、あの子は言った。
私は懇願した。やめて欲しいと。今は大事な時期だからと。
同じことをしたのは誰だ、と言われた。
答えられなかった。
その代わり、私は言った。
それさえしなければ、どんなことでもするからと。
あの子は、ニヤリと笑った。
その言葉を待っていた、と言われた。
それからすぐ、事が始まるのが早かった。
私は、あの子が用意した男たちにやられた。
写真や動画をたくさん残された。
下手な事をしたら、全てネットに流すと言われた。
それが私がしたことなのだから、と言われた。